佐久の自然の恵みを活かした地域づくり

Maru Cafe(佐久市平賀)

縁がつくる円
人とつながれる佐久は面白い

「Maru Cafe(マルカフェ)」という店の名に、オーナー柳澤零さん・真理さん夫妻が込めた、このお店への思いが集約されている。人と人とのつながりや縁、また、この店を取り巻く環境が円を描くように循環することを意味している。 Maru Cafeが、不思議と落ち着くのはなぜだろう―。

一歩足を踏み入れると、土や珪藻土を使った壁、木の温もりにあふれた空間が、訪れた人を包み込む。この建物は、もともと真理さんの祖母が薬局をやっていた建物。昭和9(1934)年に建てられ、薬局の後にピアノ教室や、花道教室などに使われた後は、物置になっていた。当初は、眺めのいい場所に店を構えよう思っていた真理さんだが、知人や師匠の勧めもあって、ここを選び、改築して、新たな命を吹き込んだ。「料理を作るのと同じように、気持ちよく過ごせる場所を意識してつくりました」と零さんは話す。建材は、地元の木材や川で拾った石などを使った。子どもが受け継いだ時、壊しても自然に戻せるものを使ったのだという。これも自然の中での循環だ。手に取る器、座るイスなど、お客さんを取り巻く空間すべてにこだわった。気持ちよく過ごせる場所は、こうして誕生した。

メニューは、ドリンクとデザート付きの「本日のランチ」のみ。地場の野菜を中心にこだわり抜いた食材、その旬を生かし、Maru Cafeならではの料理に仕上げる。やさしい料理は、二人の人柄がそのまま伝わってくるようだ。 二人の出会いは、佐久市望月長者原の野菜農家「アトリエノマド」の畑。食材を学ぶために来ていた真理さんと、たまたまアトリエノマドを訪れた零さんが出会った。「普通は海外の技術を学ぼうとするものですが、彼女の食材から学ぼうという発想が面白いと思いました」と、出会った時の印象を語る。お互いの料理や食材への思いが共鳴し、Maru Cafeの“円”を描く最初の“縁”が生まれた。

「飲食店だけではなく、衣食住すべてに関わることに取り組んでいきたい。最近(2016年)完成した加工場で、ジャムやドレッシングなどの瓶詰と菓子製造・販売などにも取り組んでいく予定です。保存性が高まる農産物の加工・販売は農家の収益面でプラスになるし、加工品は佐久の特産品になればと思っています。Maru Cafeで食事を楽しんだ後は物販所にも足を運んでいただきたい。佐久市を代表できるようなものを作っていけたら」と、さらなる広がりに夢を膨らませる。 大事にしているのは、人とのつながり。店づくりの段階から、地域とのつながりを大事にしてきた。今は、生産者をはじめ、お客さん、いろんな人とのつながりが生まれている。

「佐久は人のつながりがあって面白い。つながりがないと商売も成り立たない。佐久平駅周辺は佐久の経済の中心ですが、平賀を人が集まる経済の中心にしたいというのが夢です。近所の人にももっとMaru Cafeに気軽に足を運んでもらえるように努力して、いつも明かりが灯る場所にしたい。」と最後に零さんは熱く目標を語ってくれた。 Maru Cafeの縁(円)が、ま~るく、どんどん膨らんでいく。