佐久の自然の恵みを活かした地域づくり

長寿の里「佐久」プロジェクト

「健康長寿のおいしい秘密」を
佐久から発信

話:(一財)日本農村医学研究所(佐久総合病院)主任研究員 栁澤和也さん

長野県は男女ともに平均寿命が全国で最も長く、その中でも佐久地域は「健康長寿の里」として県内外に広く知られている。近年多職種連携の活動として注目されている、長寿の里「佐久」プロジェクトについて、同事務局の栁澤澤和也さんが語る。

長寿の里「佐久」プロジェクトで 佐久を元気に

多くの皆さんが「農ある暮らしを楽しむ」ことが生きがいや健康維持、長寿の秘訣になっていると考えているように、健康長寿には「食と農の結びつき」が大切です。
私は現在、長寿の里「佐久」プロジェクトの事務局として、おいしい健康食「花咲く長寿レシピ」の開発や「農作業による健康維持」に関する調査研究など様々な活動で佐久を元気にしています。今回はいつまでもいきいき元気で生活するための3要素(身体活動、栄養(食生活)、社会参加)について、2つの『おいしい秘密』を紹介します。

農作業の「いいしかけ」

1つ目のおいしいは「自分の得になる」話、農作業の魅力についてです。農作業は心と体と脳にもたらす「いいしかけ」があります。近年では、それぞれの言葉にメッセージを載せたパンフレットを作成、講演等で全国に発信しています。

いくつかを紹介すると、「いいしかけ」の「い」は『いきがいや楽しみ』として、野菜を育て食べること、またおすそ分けすることを通したご近所付き合いのすばらしさ。

「か」は『家計の助けや家族のつながり』。「け」は『健康づくり』を示しています。特に農作業は軽度の身体活動として健康づくりに有効ですが、いつまでも元気で農作業を楽しむためにはまだまだ課題があります。健康長寿に向けて、家庭菜園などで野菜を育て、農作業前後のストレッチや農閑期の筋力トレーニングで身体づくりも行い、旬を楽しむ生活を過ごせたら最高です。

おいしい健康食
「花咲く長寿レシピ」

花咲く長寿弁当〜鶏の安養寺味噌焼き〜

2つ目の『おいしい』は「味が良い」話、「花咲く長寿レシピ」についてです。おいしさとは、様々な要因により決定され嗜好によって左右されます。これらを考慮し開発している40以上のレシピには3つのコンセプトがあります。

1つ目は適塩・栄養バランスへの配慮です。個人の味覚に合わせるのではなく、おいしく、食材そのものの味を活かし適切な塩分量に慣れることを「適塩」とし、1日3食、主食、主菜、副菜を食卓にそろえて、自分に見合った食事量を心がけるため栄養成分などの目安を決めています。

2つ目は地元食材の活用です。佐久地域でとれる食材や、「おいしい信州ふーど(風土)」、また、野菜など「旬」の食材、乾物、根菜などを活用しています。そして、「食べやすい・作りやすい工夫」です。噛みごたえを残す工夫や繊維を断ちきるように刻む工夫、また、長期保存可能な食材や購入しやすい食材、日頃から家にある食材を使い、ご家庭で簡単に作れ活用できるレシピを開発しています。

2015年からは佐久市内の飲食店と協力開発も始まり、2016年には11店舗での提供を達成、普段の食生活の中で実践できることを考えるきっかけや、佐久から発信する健康食のブランド化を目指しています。開発レシピはホームページで公開しておりますので、「花咲く長寿レシピ」と検索してみてください。

花咲く長寿レシピ