佐久の自然の恵みを活かした地域づくり

八千穂漁業(佐久穂町)

北八ヶ岳の水と
佐久穂の恵みを
生かして

今や信州を代表する食材となった「信州サーモン」。佐久地域のレストランなどではメニューでその名を目にする機会も多い。 信州サーモンとは、長野県水産試験場が開発したニジマスとブラウントラウトの交配種で、サーモンを思わせるシルバーの体と、鮮やかな紅色の身が特徴の淡水魚。佐久穂町の八千穂漁業はこの信州サーモンを生産し、そのクオリティの高さから、地元のイタリアンやフレンチのシェフ、軽井沢の老舗ホテルから絶大な信頼を寄せられている企業だ。 同社の加工部門を一手に担うのが、佐々木隆文さん。同業他社から入社した佐々木さんが、入社後すぐに商品開発に挑んだのがスモークサーモン。佐久穂町の蔵元・黒澤酒造の日本酒「八千穂」を仕込み時に使い、燻製時にはサクラやクルミ材に佐久穂町産のシラカバの木片も加えるなど佐久穂の魅力が凝縮した一品を作り出した。信州サーモンを気軽に味わえ、同社を代表する人気商品となっている。

北八ヶ岳の東麓から湧き出るきれいな水で育ち、臭みが なくておいしいと評判の信州サーモン。最近は佐久地域だ けでなく、首都圏のレストランからの注文も増えてきたという。大きさや個体のキロ数など細かな指定をしてくるシェフもいるが、それは脂の乗り方や切り身にした時の大きさにこだわるがゆえ。そのシェフの求めるニュアンスをくみとるのも佐々木さんの仕事だ。

「料理人の方と直接話をすると、彼らは食材に妥協をしないし、信念があることがよく分かります。ですからこちらも彼らの求めるレベルに合った物を出さないといけない。感想を聞く機会はなかなかありませんが、再注文が来たということは、商品に満足してくれたということ。そのときは最高にうれしいですね」と佐々木さん。  32歳と若く、社交的な佐々木さん。入社してからわずか数年の間に地域のシェフや職人たちとのネットワークも広がった。 「佐久には魅力のある食材も多いですが、そのやわらかい空気感や、控えめで優しい地域の人も魅力。そして皆仕事にプライドを持って仕事をしている。これからも地域の魅力をどんどん発信する手伝いをしていきたい。一人ではできなくても、仲間とならできることもありますから」